子どもみたいに
私、どうでもいい人間なんかじゃない
私がどんな夜を過ごしてどんな朝を迎えたか、言わなくっても分かっていて欲しい
薄っぺらいあの子達とは違って感情に血が通っていること、闇に犯される日もあること、守り続けたい人がいること、知っていて欲しい
私には私の価値は分からない
みんなと一緒にしないでという子どもじみたプライドだけが私を纏っている
それでも、見出して欲しい、私だけを
子どもみたいね
正直
好きなものだけを好きだと言いたい
どうでもいいあの子達には手を振ることもしたくない
毎日クリームが溢れるほど入ったクレープを食べたいし
どうでもいい人達とするどうでもいい話は心底どうでもいい
■
夏は一体いつ終わったんだろう。
何度過ごしても、いつも曖昧なままに、記憶されずに、いつの間にか夏は終わっている。
あんなに愛おしかった季節も、次の季節の空気にすっかり溶け込めば、瞬く間に忘れることができる。思い出すのなんて、最初のうちだけだと知っているのに。何度繰り返しただろう。
一年の中で一番、九月が切ない。
■
手紙が届くのを、もう何日も待っている。出されてもいないであろう手紙を。プレゼントが届くのを待っている。包装もされていないであろうプレゼントを。中身のない自分のことを、掘り起こしていけばきっと凄いんだと信じていて、だから私のことを素敵だと言ってくれる誰かを此処でずっと待っている。現れもしないであろう誰かを。
期待はずっと棄てられずにぐしゃぐしゃに握り締めたままになって、もし今その拳を開けてみたらとっくに指の間を零れ落ちて何にもないのかもしれない。それでもずっと、大切に握り締めている。
キラキラした世界には憧れるのに、誰かに見て欲しいわけでも対抗したいわけでもない。
偽物だって本物だと信じているけれど、本物だけをずっと探している。