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今までどんなことも一年前の気持ちなんて嘘みたいになくなってきた。
だから今のこの気持ちもきっと、嘘みたいになくなるんだろう。
日々の中で少しずつ。確実に。
毎日の自分の気持ちの変化を記していきたい。
思えばあの人との日々のことをここに書いたことなんてなかったな。
あの人のことを私がどんな風に忘れていくのか。知っておきたい。
9/14 雨
今日は休み。化粧も落とさず寝てしまっていた。美容院に行く予定。髪をバッサリ切ろうとは、、思っている。一年前の誕生日にバッサリ切った自分を見返そうと画像を辿っていると去年の誕生日の画像が沢山でてきて、楽しそうに笑っている私とあの人の写真に、この頃は私とあの人の気持ちも関係性も変わっていくなんて思いもしなかったなと、心が痛くてあまり見たくない。泣いた方が楽になるのかな。もやっとした気持ちが胸の中をぐるぐるしてた。
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あの子からの手紙はもうこなくなった。
それはあの子が私に失望したからかもしれないと、わたしは思っているんだ。
わたしが毎日惰性で暮らしているから、わたしはわたしに失望する。
恋人はわたしを愛しているけれど、時間を殺しあっているような気もしているよ。
殺し合う時間を舐め合うのが、今は楽しいのかも。
あなたがいなくなったら、あなたと舐め合っていた時間を私はベッドに横になっているか、つまらないマンガを読むだけになるだけ。
春には東京へ行くけれど、涙を流してみたいだけ。
あなたと出会ってからというものは、何も浮かばなくなったし、何も感じなくなったよ。
毎日たのしいね。
タイムマシンがない
月が明るいのか、暗くしても壁に立て掛けたギターのヘッドやルームフレグランスのスティック、昨日届いたばかりの贅沢なテレビがぼうっと浮かび上がっている。せっかく大きくて立派なテレビを買ってもらったのに、テレビのない一人暮らしに慣れてしまったようで、どうも音のある生活がぎこちない。すぐに消してしまう。
窓を少しすかして白くて薄いカーテンを閉めて、電気を消した7畳半の部屋でミツメのタイムマシンを聴いていた。枕と反対側に頭を向けて寝転んで、タオルケットをぐちゃぐちゃのまま素足に掛けて、視界の半分を自分の髪の毛が覆っていた。
少しずつ渇いていくような、じんわり満たされるような、どちらとも言えない感覚。
寝起きの喉の渇きのような、昼寝の間のじっとりとした汗のような、どちらとも言えないんだ。
注射器で血を抜かれるような、水が少しずつ注がれていくような、
何か足りないのだけど、心地が良い。
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たった一時間、隣に並んで話しただけの忘れられない人がいる。
たった一通の手紙で、内側に触れて、全てを攫う様な尊い人がいる。
その事実は、私の日々を優しく包んでくれる。
だけど、同じ音楽を聴いてても、私の心と交われるわけもなくて、分かってもらえるわけも、尊重されるわけもなかった。音楽の嗜好が同じだけで尊い人かもしれないなんて、馬鹿げた発想だった。淡い期待は、ただの淡い期待のまま、粉々になっていつかの夜へ散っていった。
アルコールがまだ体内に残った帰り道に、真夜中の公園でお喋りをする、なんてロマンチックなんだろう。これが分からない人間と、いくら話しても無駄だったろう。時間を割く価値はない。
あの日の老人に抱いた感情は、私の確信は、何なのだろう。彼女に対する私の心は何処まで続いてるんだろう。
分かり合うということと、溶け合うということは、全くの別モノなのだと気付いた。私のことを誰もが知らない。あの子のことを私は知らない。その絶望の淵で、二人きりで心を絡めて、溶け合っていたい。
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春が来るより前にあの人への心を捨てた
正確には、あの日砕けた心の欠片をひとつずつ、ひとつずつ、やっと全てを拾い上げたのかもしれない
憑き物が落ちたかの様に急にどうでもよくなった
もう切なくなることもないだろう
そう思うと、何と無く切なくなった
春を待っている、今日、私は。
2016年も終わります
2016年も残すところ数十分となった。正直今年は、何やってんだろうと自分を責めずにはいられない年となった。だけど、今年の大晦日はいつもよりゆっくりと過ごすことで出来ていて、紅白を観ながら、姉とどっちがどのタイミングでお風呂に入るかを揉めたりして、何だか幸せだ。今日は朝から買い物へ行って、昼からはずっとおせち作りをしていた。今年頑張ったことと言えば料理くらいで、おせちを作ることが2016年最後にやっておきたいことだったからだ。おせちと言っても、少しだけではあるが、牛バラ肉と里芋のいり煮と伊達巻き、鯛と柿 蕪の柚子マリネを作った。母には鮭と鶏肉の酒粕漬けを作ってもらった。明日祖父母の家に持って行こうと思うのだけど、みんなが美味しいと言ってくれるのか少し不安だなぁ。喜んでくれるといいな。
今年を思い返すと、本当に自分が情けなくて悲しくなる。だけど、心に触れてくれるような大切な友人ができた。あとは、色んな音楽を聴いたかなぁ。今年一年聴いた音楽を少しだけ思い出してみようかな。(新譜だけではなく、というかほぼ2016年に初めて聴いた音楽やよく聴いた音楽です)
2016年 1月〜3月
君へ/柴田淳
サビの儚いメロディーが好き。当時の澄んだ空気と共に、何だか愛しくて、大切にしたかった人のことを思い出す。
https://www.youtube.com/watch?v=qVrM-BxWybA
Butterfly/BUMP OF CHICKEN
またまた新たな境地を開拓する彼らの音楽に最初は戸惑いを覚えながらも、二度目にはスーっと身体の中に染み込んだ。今、彼らが歌っているだとか、どうでもいいんだよ。
Alphabetical/Phoenix
4月〜6月
恋に落ちたら/サニーデイ・サービス
新しい土地で一人で暮らす生活の始まり。あたたかい陽射しが差し込むワンルームの部屋にお似合いの一曲。
夜が深まって来る頃、暗い部屋で人知れず聴いていたい。
NORTH MARINE DRIVE/ART-SCHOOL
誰も信じられない夜の帰り道、あなただけが光のようで。
7月〜9月
クライベイビー/きのこ帝国
バスの一番後ろの席で聴いたのを思い出す。思い出したいような、そうじゃないような、温度。
タイムマシーン/chara
抜け殻のような私と一緒にいじけてくれた友達みたいな。
baby/片平里菜
クラゲ/ミツメ
夏のあの日に溶けるような、夏の全部が詰まった一曲。
Rebirth/Yuck
Up/Sing Street
10月〜11月
嵐のあとで/Galileo Galilei
愛のゆくえ/きのこ帝国
透明少女/星野源(NUMBER GIRL cover)
DEMO、恋はサーカス/チャットモンチー
東京2006冬/曽我部恵一
Fake Plastic Trees/Radiohead
12月
お別れの歌/never young beach
https://soundcloud.com/lovely_summer_chan/4mbva6a0dkkl
ルミネセンス/ラブリーサマーちゃん
真夜中と真昼の夢/ASIAN KUNG FU GENERATION
https://soundcloud.com/whisper-voice-riot/stand-on-the-moon
Stand On The Moon/Whisper Voice Riot
https://soundcloud.com/user731618491/grj2ixtzmghs
楕円の夢/寺尾紗穂
https://soundcloud.com/pang_nakkan/suddenly-predawn
Suddenly/predawn
ニーナの為に/ART-SCHOOL
うぐいすの谷/麓健一
来年はもっと音楽で溢れますように。
ニーナの為に
待ち合わせ場所で彼女は花束を抱えて立っていた。誕生日でも、何でもない日だった。春が過ぎたくらいから始めた文通の返事が来ないなと思っていたが、何度も書いてはゴミ箱へ、書いてはゴミ箱へを繰り返しているうちに冬になったと、申し訳なさそうに、恥ずかしそうに、手渡してくれた。
彼女が選んだくれたお店で、二人共エビとアボカドのナンを食べた。住みたいねと二人して言うほどに素敵な店内で、こだわりの強そうなマスターの趣味なのか沢山のギターとギターケースが壁に立て掛けらていたり、古い黒電話があった。その古い黒電話が鳴って使えることが判明した時は、お喋りしてたのに思わず中断してしまうほど二人で驚いたなぁ。。最近好きな音楽の話、前に薦め合った本や曲の感想、大学生活、卒業論文やクリスマスのことなんかで話に花が咲いた。
気付けば3時前になっていて、私と彼女はその店を後にした。1年前に散歩した公園を散歩しようと張り切っていたのに、外のあまりの寒さに、二人とも思いの外散歩を楽しめなくて笑った。途中にいた全然懐かない猫ちゃんがとても可愛いかったなぁ。彼女は、猫にお尻を見せると信頼が築ける!と言い張りしばらくお尻を向けていたが全然駄目だった。私は後ろで声を出して笑っていた。
暖を取ろうと百貨店に入った。普段一人では回らないフロアも二人で一々騒いでいた。本屋で、彼女に薦められたインゲボルク・バッハマンの三十歳という本を買った。
百貨店を出て、近くの純喫茶へと向かった。ずっと気になっていた喫茶店で、店内は最後の晩餐のようなテーブルと椅子で二人ではしゃいで、隅に並んで座った。ここでもまた、二人共同じものを頼んだ。キューバコーヒーという名前のカルーアリキュールとコーヒーと生クリームが入ったものだ。カルーアの程良い甘さに、幸せな溜息が零れた。
お化粧に最近興味を持ち始めたらしい彼女にドラッグストアで少しだけお化粧を施すと大袈裟なくらいに彼女は喜んでいた。
帰り際、彼女は何度も振り返って手を振った。すっかり暗くなった道を、私はバスに乗って帰った。家まで待ちきれずにバスの中で彼女のくれた手紙を読んだ。手紙を読みながら、鼻の奥がツンとするほど熱くなるのが分かった。ここからは、その時の感情を正確に言葉で表すことが出来ないと思う。
カラの花の柄の浴衣を選んだことも、大切な友人から手紙が届いたことも、その子の名前も、手紙を書くために選んだ便箋のことも、最近好きになった曲も、全部あの人に話したいと思っていた私は、当時のその心達を何処へ仕舞えばいいのかわからなかった。私はもがき続ける子どもの様で、本当に恥ずかしい。誰かの言葉に気付くことがあったり、誰かの言葉を自分に言い聞かすことはできても、内側に触れることは誰にもできなかった。彼女の言葉だけがそれを可能にして、私は救われた。大それた人間じゃない。価値など分からない。それでも、私を見つけてくれてありがとう、内側を愛してくれてありがとうと、涙が零れた。
私たち二人は、はたから見ればとてもとても気持ちの悪いことをしているかもしれない。けれど、私 と あなたはそれだけで息を繋いでいるようなものなのだ。
《君はとても可愛い人で 何故か俺は泣きそうになる》
ニーナの為に/ART-SCHOOL