彼女の誕生日


21年住んだ町は
時間をかけて ゆっくりと 息がしづらくなっていった

道路も人も、この町の全部が好きじゃなかった

久しぶりに会った彼女は
この町の中心にある公園へと私を誘った

川沿いを歩きながら、この町は良いところだよと 私の半歩前を行く彼女は笑った

12月の 肌を刺すような冷たく澄んだ空気を吸い込みながら、そうなのかもしれないと ほんの少し思えたことは、ここ最近で最も幸福な瞬間だっただろう

フィルムカメラのファインダーから彼女の姿を覗くと、世界がいつもと違って見えた